今世紀百物語

生きているのか死んでいるのか

Calbar Exam合格体験記 & 論点・ルール暗記用ノートのこと

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この記事について

2023年2月のCA Bar Examに合格することができました。私は、米国のロースクールに行っておらず、英語や米国に関する特別なバックグラウンドも全くありませんが、9か月くらい勉強に本腰を入れて、初めての受験で無事に合格できました。私が行った勉強方法などをご紹介します。
また、Essayの論点とルールを暗記するために作成したノートを添付します。このノートは、平凡な暗記力と乏しい英語力しかない自分でも暗記できるように、必要な論点とルールのキーワードを、必要最小限の分量で、かつ、自分的な頭に入れやすい形式・体裁に整えたものです。

経緯など

数年前に、「米国カリフォルニア州司法試験に独学で黙々と挑戦する会」のFacebookページを見て、日本の弁護士であれば米国ロースクールを卒業していなくてもカリフォルニア州司法試験を受験する資格があることを知って興味を持ち、いつか受けてみたいと考えるようになりました。しかし、日々の忙しさに流され、どこまで本気で取り組む意味があるんだろうかという疑問もあり、なかなか本格的に勉強しようというモードになれませんでした。
そのような中で、西田章さんの「新・弁護士の就職と転職-キャリアガイダンス72講」が出版されたので読んでいたところ、「第50講 米国法弁護士資格取得のコストパフォーマンス」に、ほとんどの日本法弁護士にとって米国法弁護士資格は「足の裏についた米粒」(取らないと気持ち悪いが、取ったからといって食えるわけではない)であり、「お飾り」ではあるが、①日本企業に対して米国法も分かりますというメッセージになり、米国関連の相談が増えるかもしれない、②海外進出案件で、現地の法律事務所に言うことを聞いてもらいやすくなるかもしれない、③米国から日本へのインバウンド案件に関わる機会が増えるかもしれない、④米国系の法律事務所や米国系の企業に転職しやすくなるかもしれいない、⑤企業の役員のスキルマップの「海外」「国際性」にマルが付いて社外役員になりやすくなるかもしれない、というような意義はあるかもしれない、というようなことが書いてありました。自分としても、いつか受けてみたいと思いながら先延ばしにして過ごしていると「足の裏についた米粒」状態が続くのでさっさと決着を付けておきたい、また、①~⑤は今後の自分にとってもメリットになる可能性は無きにしも非ずだろう、と思い、受験に向けての気持ちが強まりました。
そして、自分も年齢を重ね、「このままでは『いつか』は来ない、やるなら今やるしかない」と思い直し、本格的に勉強をする決意をしました。
2022年5月ころから教材の入手を始め、2022年6月ころから本格的な勉強を始めました。タイミング的に2022年7月の受験には間に合わないため、その次の2月の試験を目指すことにしました。

参考にした情報

上述の「米国カリフォルニア州司法試験に独学で黙々と挑戦する会」のFacebookページをはじめ、以下の情報を大いに参考にしました。

 

私の勉強方針(総論)

できれば1発合格を目指す

カリフォルニア州司法試験は、2020年10月~2021年7月はコロナ禍のためオンラインで日本からも受験できるようになっていたようですが、自分が受験を決意したときにはすでにオンライン受験は終了しており、in personでの受験のみ開催されることとなっていました。受験料だけでも十数万円かかりますし、渡米してin personで受験する旅費交通費にも数十万円くらいの費用がかかりますので、あまり無駄打ちする余裕もありません。
また、私はかれこれ十数年以上受験勉強というものから離れていましたので、本格的な受験勉強を何年も続ける気力体力があるとは思えませんでした。
そのため、「何回か受けていればそのうち受かるだろう」というような感じで受験するのではなく、できれば1発で合格する、それがだめでも、せめて、初回は不合格となったとしても「次はさすがに合格するだろう」と思える程度には善戦する、それすらできないようであればもうこの試験はあきらめる、という気合いで挑みました。

自分が持っている武器をフル活用する

自分は米国のロースクールに行っていないだけでなく、留学、駐在、居住などの経験もなく、そもそも米国本土にも行ったことがありませんでした。また、すでにいい年なので、体力勝負で無理をしたりすることはできず、受験回数を重ねて長期戦で挑む気力もありませんでした。そのため、自分の過去の受験に関する知識・経験や、実務家・社会人としての知識・経験を総動員して、短期決戦で挑もうと思いました。

頭の中で何回も落ちる

勉強を進めていくにあたっては、落ちてしまったときのことを何度も頭の中でシミュレーションし、「仮に今受験して落ちたとしたら、何が足りなかったからだろうか」と何度も自問自答しました。これは、自分が、受験前は「この程度で受かるだろう」と楽観視して手を抜いてしまう傾向があることを理解していたからです。
自分は日本の旧司法試験を3回受験して3回目で合格しました。1回目は、受験前は「まぁこの程度で行けるのでは」と楽観視していましたが、択一で落ちてしまいました。落ちた後に振り返ると、すぐに、知識の正確なインプットが足りていなかったことに気づきました。その後、正確な知識のインプットのための勉強を始め、数か月後には模試で安定的に9割は正解できるようにになり、翌年の2回目の受験でも択一は9割正解し、余裕をもって合格しました。
2回目の受験では、受験前は、「択一がこれだけできるので、論文もまぁ行けるのでは」と楽観視していましたが、論文で落ちてしまいました。落ちた後に振り返ると、知識の正確なアウトプットができていないことと、当てはめの際の事実の評価・分析が薄っぺらでまったく足りないことに気づきました。その後、これらの点を意識した勉強を始め、数か月後には、模試で安定的に高得点を取れるようになり、自分の中でもこれは合格できると確信できるようになりました。結果、翌年の3回目の試験では、択一、論文とも、かなりの余裕をもって合格しました。
このときの経験を今振り返ると、私は、自分の実力に対する評価が甘すぎて、「これくらいできていればまぁ受かるだろう」と楽観視してしまう傾向があると分かります。落ちて大きなショックを受けて、ようやく、自分の実力を直視し、何が足りないのかを考えるようになる、ということを繰り返してきました。もっと自分の実力を客観的に評価できていれば、もっと早く受かることができたと思います。
それから十数年が経ちました。今さらこんな若かりし頃の失敗を繰り返すわけにはいきません。カリフォルニア州司法試験の受験勉強を進めるにあたっては、頭の中で何回も試験に落ちるシミュレーションをしました。「今受けて、落ちたとしたら、何が足りなかったからだろうか」と自問自答しました。そして、足りないと思われる事項の勉強を後回しにせずにすぐに着手するようにしました。
この「落ちたときのシミュレーション」をするにあたっては、masoブロ (fc2.com)のN氏の合格体験記が大変参考になり、何度も読みました。
最終的には、受験時には、「今受験して、トラブルなく実力どおり解答できて、それで落ちたとしたら、何が足りなかったのか、今の自分では考えつかない」という状態まで持っていけました。

過去問から始める

過去の様々な受験の経験から、試験勉強の王道は過去問だ、と考えていました。「まずは知識のインプットのためにテキストを読んで、ひととおり読んだらそのあと問題を解き始めよう」というような考え方が、少なくとも私にとっては一番遠回りで、良くある失敗だと考えていました。少なくとも私の場合は、このような勉強のしかたをすると、知識のインプットのためのテキストを数ページ読んだところで飽きてしまい、いつまで経っても進まず、結局そのままになってしまいます。
ですので、私が試験勉強の王道だと考える方法、すなわち、「まずは過去問を解く、解けなかったらそれについてテキストで勉強する」というやり方を基本として勉強を進めることにしました。

目指す得点

カリフォルニア州司法試験の合格点は2000点満点中1390点で、約70%です。MBEとEssay・PTの比重が50:50です。
MBEは、3時間100問の択一問題を午前と午後に行うので計200問です。ダミー問題が10問あるので満点は190点です。これがまた2000点満点に換算されたりするみたいですが、訳がわからなくなるので、パーセントか100点満点換算で考えることにしていました。
Essayは計5問、PTは1問です。午前中に3時間でEssayを3問、午後に3.5時間でEssay2問とPT1問を解答します。Essayが1問あたり100点満点、PTが200点満点で、EssayとPTをあわせて700点満点です。これも2000点満点に換算されますが、訳がわからなくなるので、こちらもパーセントや100点満点換算で考えるようにしていました。

どの程度の得点を目指すべきかについて、日本で取得できる!米国弁護士試験の採点方法を徹底解説 (asosuna.com)を何度も読んで考えました。

上記のとおり、全体で70%以上得点できれば合格します。「MBEが70%、Essay・PTが70%」でも合格できますし、「MBEが80%、Essay・PTが60%」でも 、「MBEが90%、Essay・PTが50%」でも 合格できます。
ただし、各科目とも、生の点数(raw score)がそのまま使われるわけではなく、計算式によって換算された点数(scaled score)が使われます。MBEは、だいたいraw scoreに10〜15点が加算された点数がscaled scoreになります。MBEでraw scoreで75%とれば、scaledでは80%くらいになるようです。高得点になればなるほど加算される点数は減るようですが、逆にraw scoreから減算されることはなさそうです。そうすると、仮に「MBEが80%、Essay・PTが60%」を目標とした場合であっても、実際にMBEの問題に80%以上正答する必要はなく、正答率が75%であればscaled scoreは80%程度になるので合格できる、ということになります。
Essay・PTの方も同じようにraw scoreからscaled scoreへの換算があるようですが、その計算はよくわかりません。少なくともraw scorwから減算されることはないのではないかと思います。
Essayの採点については後で触れますが、各科目100点満点ですが、現実的には40~70点程度の間で点がつき、全ての論点にひととおり触れてIRACを書けば65点、そこまでいかなくてもまあまあできていれば60点、かなり失敗したかもというレベルで50点、という感じのようです。

以上を踏まえて、自分なりに、以下のとおり整理していきました。

  • よく言われるように、Essay・PTはノンネイティブには不利だし、どこまで得点できるかも客観的に分かりにくい。MBEで90%得点できれば、Essay・PTが50%(=かなり失敗したかもレベル)でも合格できる可能性が残る。そのため、MBEでは可能な限り高い点を取ってカバーできた方がよい。
  • とはいえ、後で触れるとおり、MBEは必ず何問かは微妙な問題や未知の問題が出るようなので、MBEで確実に90%得点するというのはほぼ無理である。自信を持ってこれくらいの点数が取れるであろうといえるのは正答率75%以上という感じだろう。そのため、Essay・PTもそれなりの得点を得ないと確実な合格はできない。MBEの正答率が75%(raw scoreが75%)であれば、scaled scoreは80%程度になるので、Essay・PTが60%程度以上であれば合格できる。Essay・PTが65%までいければ、MBEのscaled scoreが75%であったとしても、合格できる。

以上のようにもやもやと考えた結果、「MBEは90%、Essay・PTは65%」を目標に勉強することにしました。仮に本番でEssay・PTが50%に止まってもMBEで90%得点できれば合格の可能性は残せるだろう、逆に本番でMBEが75%に止まってもEssay・PTが65%得点できれば合格の可能性は残せるだろう、と考えました。

MBE対策

過去問演習

いきなりEssayやPTの勉強に取り組むのは無理がありましたので、MBEの勉強から始めました。勉強は、上記のとおり、過去問から始めました。
MBEの過去問の教材としてよく使われていて評価が高いのは、adaptibarEmanuelのようです。
adaptibarは、スマホのアプリやブラウザ上で過去問を解くことができるものです。$395で、2月受験の場合は8月頃から2月末頃までアクセス可能でした。過去問が1500問くらい掲載されています。
Emanuelは過去問本です。米国のamazon.comで購入すると送料込みでも1万円くらいだったと思います。過去問が合計500問弱くらい載っていて、解説がかなり充実しています。1回分の模試(午前100問、午後100問)も付いています。
Emanuelとadaptibarはどちらも過去問なので、両方買うと問題が重複することになります。
自分は、まずは問題数が少なくて紙ベースで勉強できるEmanuelに取り組み、いずれEmanuelがひととおり終わったらadaptibarをやるということにしました。Emanuelはkindle版もあるようですが、紙で解きたかったので、amazon.comから紙版を購入しました。Emanuelは、司法試験受験時の過去の自分と同じように、○が3つ並ぶまで(すなわち、3回連続して正解するまで)解こうと思いました。もっとも、その後、○が2つ並ぶころには問題と答えを覚えてしまっていて練習にならなかったため、○が2つ並んだところでEmanuelを解くのをやめてadaptibarに移行しました。

6月頃(試験の約9か月前頃)にamazon.comでEmanuelの紙版を入手し、比較的分かりやすそうな憲法、契約法、刑事法などから少しずつ解き始めました。Emanuelは昔の電話帳のように分厚く、その厚さを見るだけで解く気を無くすので、科目ごとにバラバラに分解し、背表紙にテープを貼って、科目ごとの冊子にして使いました。
最初は問題の意味を理解するのも難しく、解説を読んで一応理解するのにもとても時間がかかったため、1問解くのに何十分もかかり、1日に数問とかのペースでしか進みませんでした。分からない単語も多く、半分以上は単語の勉強みたいな感じでした。
しかし、その後、少しずつペースが上がっていき、2か月後くらい(8月中旬)に、なんとか約500問全部に○がつきました。
また、その1か月後くらい(9月中旬)には、全問に2つ目の○が付きました。
3回目の○をつけるために解き始めたところ、もう問題と答えを覚えてしまっていることに気づきました。そのころにはadaptibarのサービス期間も始まっていましたので、Emanuelは終了し、adaptibarを解くことにしました。
Emanuelで全問に1つ目の○が付いたころには、このまま問題演習を続けていればMBEは本番までに目標ラインに持っていけるだろうと確信が持てましたので、勉強のメインはEssayとPTに移行しました。MBE対策としてはadaptibarを通勤時間や寝る前、起きた後などの隙間時間にポチポチと解く、というのをしばらく続けました。だいたい1日10〜30問くらいのペースで解きました。試験の2か月前くらい(12月末頃)には、adaptibarに収録されている1500問くらいの過去問を全部解き終わりました。
adaptibarのダッシュボードを見ると、科目ごとの正答率を見ることができます。adaptibarに収録されている過去問を全部解いたころにこのダッシュボードを見てみると、ほとんどの科目で80%以上の正答率となっているのに、民事訴訟法は50%台の正答率でした。自覚としても、民事訴訟についての正確な知識が足りていないと認識していました。そこで、最後の2か月間は、主に、adaptibarの民事訴訟法の間違った問題を復習し、足りていなかった知識をwordのノートに箇条書きでまとめる、という作業を行いました。このノートは、試験当日も印刷して持っていき、直前のチェックに使いました。また、このノートを作りながらも、隙間時間にポチポチと問題を解きました。本番直前で2500問ちょうどまで解きました。正答率は75%でした。

3時間100問を解く演習

MBEは100問を3時間で解く試験ですが、私は、試験の直前まで、3時間で100問を解くということを一度も行っていませんでした。試験の直前、いよいよ米国に行くぞという時期になって、1度も3時間で100問を解いていないことが気になり始め、「時間管理は大丈夫だろうか」「3時間も集中力が持つだろうか」と、とても不安になりました。そこで、試験の直前、日本を出発する前日と当日に、早朝に起きて、朝4時過ぎから3時間時間を測ってEmanuelの模試(午前100問、午後100問)を解くということを2回行いました。
1回目は、刻々と時間が過ぎていくのを見ながら目の前の問題がすらすらと解けないことに焦り、若干パニックになり、いったん途中でやめてしまいました。しかし、ここで100問解き切れないようでは本番は無理だと思い、途中からまた時間を測り直し、気合いで解き切りました。最後の数問は時間切れで解けませんでした。正答率は約8割でした。
この経験を踏まえて、時間管理について考えました。180分で100問を解くので平均1問1.8分で解く必要がありますが、当然、簡単な問題もあれば難しい問題もあり、合格できる水準の能力があればトータルで180分で100問解けるようになっているはずです。なので、時間管理としては、「1問1.8分」とか「5問で9分」とかを目安にすると、細かすぎて、うまくいかず、無駄に焦ってしまうのではないかと思います。
そこで、自分は、180分を90分ずつに分けた上で、さらにその90分を30分ごとに分けて、「30分で17問、60分で34問、90分で50問」を2回繰り返す、というふうに測ることにしました。これは時間管理と焦りとのバランスが絶妙で、とても良かったと思います。
日本を出発する日の早朝、2回目に模試を解いたときには、この時間管理の考え方を採用して、1問1問確実に正答を稼いでいくぞ、という気持ちで挑んだところ、無駄に焦ることなく3時間が淡々と解き、時間内に解き終わることができました。正答率は80%くらいでした。
直前の時期にこのように焦ることのないように、もう少し早い段階(せめて本番の1か月くらい前まで)には、一度、180分で100問を解く演習をしておくべきでした。

Essay対策

早めにEssay対策に着手する

複数回受験して合格された方の合格体験記を読んでいると、もっと早くEssayの勉強を始めるべきだった、と後悔している方が多いことが分かりました。「英語が苦手な日本人はMBEで稼いでカバーするしかない」ということでMBEに力を入れ過ぎてしまい、Essayを後回しにしてしまいがちなのかもしれません。しかし、先にも述べたとおり、MBEは微妙な問題や未知の問題が必ず出てくるため、どんなに頑張っても確実に得点できるのは80%くらいに止まりそうです。90%確実に得点する、という状態に持っていくのは無理ではないかと思います。そうすると、どんなにMBEが良くても、Essayを最低レベル以上にまで持っていかなければ、合格はできません。
上記のとおり、「今受けて、落ちたとしたら、何が足りなかったからだろうか」と自問自答し、落ちたときのシミュレーションを頭の中で繰り返すなかでも、「MBEばかり勉強してEssay対策をおろそかにしたから」という想定が何度も出てきました。
そこで、MBEの勉強が軌道に乗って目標とする状態に到達するイメージが持てるようになった後は、それ以上MBEを極めようとするのはやめて、早めにEssay対策に力を入れることにしました。Emmanuelで全問に1回目の○が付いたころには、勉強のメインはEssay対策に移行しました。

Essayをどうやって勉強するか

Essayの試験とはどのようなものなのか、ネット上のいろいろな記事を読み、以下のような感じなのだろうと理解しました。

  • Essayは論点を拾ってIRAC(Issue, Rule, Application, Conclusion = 論点、ルール、あてはめ、結論)を書く試験である。
  • 日本の司法試験と違って余事記載は減点にならない。むしろ「そんなことも良く知っているなぁ」みたいな感じで加点になるらしい。
  • 論点ごとのIRACにそれぞれ点が振ってある。そのため、論点落としのダメージは大きい。痛い)。
  • 100点満点だが、現実的には40~70点の間で点がつく。全ての論点にひととおり触れてIRACを書けば65点、そこまでいかなくてもまあまあできていれば60点、かなり失敗したかもというレベルで50点というイメージ。70点以上を目指すのは非現実的。

合格体験記を読みあさっていると、「実務家なので事実の評価・当てはめをして結論を示すこと(IRACのAとC)はできるだろう」ということで、ルールの暗記に注力した、という方の記事を見ました。私も実務家ですので事実の評価・当てはめはそれなりにできるのではないかと思いました。しかし、そもそも論点やルールが分からなければ話になりません。ということで、まずは論点とルールの暗記に取り組みました。
また、並行して、問題演習にも取り組みました。「今受けて、落ちたとしたら、何が足りなかったからだろうか」と自問自答・シミュレーションを頭の中で繰り返すなかで、「ルールの暗記などの寝ながらできるような楽な勉強にばかり注力し、実際の問題にあたって答案を書く練習を後回しにした」という想定が何度も出てきましたので、早めに実際に過去問にあたって答案作成をすることにしました。
問題集は、多くの方が勧めるBlue Bookを使いました。過去問が78問載っていて、現実的な分量の答案例も載っており、答案のイメージがつかめます。
問題演習は、最初は、1時間かけてフルの答案を書くのではなく、問題文を読んで論点を抽出して列挙して答案の骨子だけを作成し、その後、答えを見て論点落としがないかどうかを確認する、というような演習を2周(78問×2回)行いました。その後は、1時間でフルの答案を作成するという練習に移行しました。
最初は「1日に答案骨子1~2問」というようなペースでしたが、徐々にスピードアップし、「1日にフル答案1~2問+答案骨子4~5問」というペースでこなしていきました。
Blue Bookの問題の半分くらいについてフル答案を作成した後は、一度解いたことのある問題ではなく新しい問題に当たりたいと思い、State Bar of CaliforniaのPast Examのサイトにある過去問を新しいものから順にフル答案で作成していき、過去5回分のEssayの問題を解きました。
State Bar of CaliforniaのPast Examのサイトには模範解答が載っています。長すぎて現実的な参考にはなりませんが、必要な論点の確認はできました。また、模範答案をよく読んでみると、たしかに長くてすごいのですが、それほど大したことは書いておらず、「関係はないけれども関連はある論点」(例えば、強盗罪が成立する事案で窃盗罪や暴行罪・脅迫罪の成否についても書くようなイメージ)にたくさん触れて知識を披露しているようなものも多いことが分かりました。模範答案はおそらく100点に近い点数なのだと思いますが、それでもこの程度なのだ、CA Bar ExamのEssayで高得点を取るというのはこういうことなのだ、ということが何となく理解できました。

論点・ルールの暗記をどうするか

論点は無数にありますが、時間も記憶力も英語力も限られている自分には、覚えるべき論点をできるだけ絞る必要がありました。
暗記用のルール集としてSmartBarPrepを購入しました。SmartBarPrepは、過去の本試験で出た論点を網羅しており、なおかつ、PriorityがHigh、Medium、Lowに区分けされています。私は、このHighとMediumの論点を暗記することにしました。Lowの論点は、どうせ出たとしても論点を挙げられる人は多くないだろうし、論点を挙げられたとしてもルールを正しく吐き出せる人はほとんどいないだろうと推測しました。なので、Lowについては全く暗記等は試みず、もし本番で論点として挙げて何か書かないとおかしいようなところがでてきたら、それっぽい論点を適当に書いて、ルールも「必要かつ相当」みたいな適当なルールを書いてあてはめをしようと思っていました。

ただ、SmartBarPrepのルールの記述は長すぎるという問題がありました。一字一句覚えなくてもポイントだけ覚えて再現すれば良いと言う方もいますが、「長い文章を読みながらポイントだけ暗記する」というのは私はできませんでした。
ルールに関しては、amazon.comで評価の高かった「California Bar Exam Rules」という本も買ってみました。「同じルールを言うのになんでこんなに言葉を費やすんだ、簡単にこう言えばいいだろ?」というような感じで、できるだけ簡潔な言い回しでルールを列記してくれています。勉強が進んでいてあとは言い回しを暗記するだけだと言う人は、この本で暗記しても良いのではないかと思います。
しかし、私は勉強が進んでいませんし、SmartBarPrepでHighとMediumになっている論点だけを暗記したかったので(California Bar Exam Rulesにはそれ以上のたくさんの論点についてのルールが載っています)、私にはこの本も暗記には使えませんでした。本当に暗記する論点について、本当に暗記する言葉だけが載ったものを見て暗記したい、と思いました。
そのため、結局、SmartBarPrepでHighかMediumとなっている論点を順序を変えたりして自分なりに体系立てて目次を作り、SmartBarPrepやCalifornia Bar Exam Rulesを見ながら、最低限覚えなければならないポイント、キーワードだけを列挙したペーパーを作りました。1科目あたりA4で1〜3ページのものができました。

これを印刷して冊子にし、ひたすら、音読したり、黙読したり、紙に書いたり、タイピングしたりして、暗記に努めました。

以上を繰り返していると、問題文を読んで関連する論点をできる限り網羅的に列挙し、その論点に関するルールを吐き出すように記載する、と言うところまで、かなりのレベルでできるようになってきました。

あてはめの書き方

このような勉強をして、論点・ルールの暗記に目途がついてきた後は、事実の評価・あてはめの練習も意識して行うようにしました。上記のとおり、実務家であればある程度できるだろうと言われればそうなのかもしれませんが、詳細な事実関係に溢れる実際の事案で事実を評価・あてはめするのと、数行しかない問題文からあれこれ想像して答案をつくるのとでは、若干勝手が違うように感じましたので、練習しておいた良かったと思います。
Calbar Examの説明を見ても、Essayでは事実を評価分析する能力を示しなさい、というようなことが書かれています。論点抽出とルールの吐き出しが一定程度できて60~65点レベルになったら、あとは当てはめがうまく書ければ点が伸びるのではないか、と予想しました。
あてはめの書き方については、あてはめの書き方|うに弁護士 (note.com)と、カリフォルニア州司法試験(California Bar Exam)におけるエッセイ攻略|田中真人/Masato Tanaka (note.com)を大いに参考にしました。

答案の形式・作成方法

答案の形式は、

1. Title (イタリックで14pt・設問の小問をそのまま書き写す)

Issue (下線太字)

Rule (暗記した内容をそのまま吐き出す)
Here, (当てはめ)
Thus, (結論)

で統一しました。

問題文を読んだら、答案に設問の小問をそのまま書き写して、イタリック14ptにして、Titleをつくります。
それから、まずは関係する論点+関係はしないが関連する論点を思いつく限り挙げて、Issueを羅列しました。
その後、各Issueの下に、暗記したRuleを吐き出して記載しました。
ここまででだいたい20分~25分くらいです。
残りの時間で、問題文に戻り、あてはめと結論を記入しました。
あてはめは、Here, の後に、まずは問題文に書いてある事実をほぼそのまま書き写して事実を指摘しました。それから、その事実は○○に該当する、なぜならば××だからだ、というような理由付けを書きました。
そして、最後に、そのIssueにおける結論を端的に書きました。
また、分量は、1000wordを目安にしました。実際には600wordくらいでも65点になることもあるようなので、1000wordに満たないからといって即アウトなわけではないですが、「1000wordに満たないということは論点落としがあるのではないかと疑うべし」と肝に銘じていました。そのように肝に銘じつつも、他方では、本番で600wordくらいしか書けなかったときにパニックにならないよう、「1000wordに満たない答案でも65点以上がつくこともある。考えに考えてそれしか出てこなかったのであれば問題ない。」ということも自分に言い聞かせていました。

採点サービスなど

私は、採点サービスなどを利用したこともなく、自分の答案を他人に見てもらったこともありませんが、①論点を落とさない、②メジャーな論点のルールは正確に書く、③あてはめを充実させる、④結論を書く、の4つを自分なりに十分にできていれば65点はいくだろうと考え、この自分なりの基準で65点が取れるであろう答案を作れるようになることを目標に勉強をしました。
日本の旧司法試験でも、自分は、模試などで他人に採点してもらって「何が良かった・悪かったんだろう」と反省するやり方ではなかなか伸びず、むしろ自分の中で理想の答案像を確立した上でそのような答案にするためにどうすべきかを自己研鑽する方が合っていたので、Calbar Examでも同じ方法をとりました。
最終的には、たいていの問題については、まあ少なくとも60点は行くだろう、65点くらいはいくのでは、もしかしたら70点も狙えるかも?というようなレベルに持っていけました。

PT対策

答案の形式・作成方法

PT対策は、2022.02カリフォルニア州Bar Exam合格体験記|若手弁護士エスワイ (note.com)を何度も読んで参考にしました。情報処理能力を試す試験であり、書写しに始まり書き写しに終わるのだ、という点を、自分も肝に銘じました。
PTは、客観的にまとめたメモを作成する場合と、当事者としての主張(口頭又は文書)の原案を作成する場合とがありますので、形式(冒頭とか文末とか)は何パターンか対応可能なように準備しておく必要があります。
また、冒頭に、イントロダクションとして、シチュエーションを2~3行でまとめた文章(例えば、相手方の主張に対する反論の書面であれば、「○○事件において相手方はAに該当しないと主張している。しかしながら、以下に詳述するとおり、相手方は明らかにAに該当する。」と書く。)を入れたりしました。しかし、その点以外はEssayと同じくひたすらIRACを書く(設問で求められている事項に応じてTitleを書いたうえで、Issue、Rule、Application、Conclusionを書く)ということを貫きました。
上記のとおり「書き写しに始まり、書き写しに終わる」を肝に銘じて、わかりやすく自分なりに言い換えるみたいなことはあきらめ、Issueは設問の文書を書き写す、Ruleはライブラリにある裁判例に出てくる法令と規範部分を書き写す、ApplicationはFileの資料に書いてある事実を書き写す(プラス、余裕がある限り、その事実がどうしてRuleに当てはまる・当てはまらないのかの評価・理由を付け加える)、そして結論を端的に書く、ということを繰り返しました。

Fileから読むか、Libraryから読むか

PTで記録をどの順番で読むのが良いかは諸説ありますが、私は、以下のような順序で対応しました。

  1. まずは指示のMemorandomを読む
  2. 答案の大枠を作る(Memorandomから冒頭の文言とインストラクションとTitleとIssue(と思われるもの)を書いて、「Here,」「Thus,」と書いておく)
  3. さらっとパラパラっとだけFileに目を通す
  4. Libraryを読み、法令や規範部分を見つけたら、とにかく答案に書き写す。書き写し終えたら答案を整えて、IRACのAC以外は完成させる。
  5. Fileを読み、Aの部分に書き写したうえで、余裕があれば事実の評価・理由を書き、結論を端的に書く。

IRACを貫くという観点から、まずはRuleを書いてから事実を書いた方が効率的だと思ったので、Libraryから読んで書き写し始めることにしました。ただ、まったくFileを読んでいないと事案の内容のイメージが全くつかず困ることもあったので、さらっとだけはFileにも目を通してからLibraryを読むことにしました。

過去問演習

PTは、過去問を10問だけ実際に答案を作成する演習を行いました。こちらも他人に採点などはしてもらわず、Essayと同じく、自分としての理想の答案をどうやって作成するか、という観点から練習しました。

試験本番に向けて

英語で試験を受けるのも、米国本土に行くのも初めてでしたので、試験本番に向けて、できる限り不測の事態に翻弄されることのないようにシミュレーションを繰り返しました。

ホテルはどうするか、空港からホテルへの移動はどうするか、滞在中の朝昼夜は何を食べ飲みするか、試験当日に使うノートPCはどうするか、当日使うソフトウェア(examplify)の操作は大丈夫か、試験当日に持ち込む鉛筆、時計、耳栓などはどうするか、などです。

ホテル

ホテルは当然ですが試験会場に近ければ近いほど良いと思います。自分は試験会場はPasadenaで、ホテルは試験会場の真裏のSheraton Pasadenaにしました。他にも近隣にはもう少し安いホテルがありそうでしてたが、google mapでホテルから試験会場までのルートを検索したところ徒歩で20分以上かかるようでしたのでやめました。米国は広くて車社会なので、google map上ではまあまあ近そうに見えても、実際には徒歩だとけっこう遠い、ということがよくあるのではないかと思います。Sheraton Pasadenaにした結果、試験本場の昼休みも自分の部屋にすぐ戻ってゆったり休めましたので、大正解だったと思います。

PC

EssayとPTは時間との勝負で、限られた時間内に全力でタイピングする必要があります。そのため、使用するPC(特にキーボード)は自分が使い慣れているものであることが重要です。
私は、普段、会社から支給されているLet’s Noteを仕事に使っていますので、本番でもこれと同じものを使うことにしました。会社から支給されているPCは業務外には使えないので、会社から支給されているものと全く同じPCを、メルカリで中古で購入しました(2〜3万円くらい)。普段の勉強でも、このノートPCで、wordで答案作成等をしていました。普通の日本語版windows10のPCです。
また、自分はタッチパッドでのカーソル操作が苦手なので、普段使っているbluetooth接続のマウスも持っていきました。
電源への接続も、プラグは日本と同じでokですし、電圧も対応していますので、特に何も対策は必要なく、日本で使っているものをそのまま持っていきました。

試験本番の1か月半前くらいになると、試験本番で使うexamplifyをダウンロードできるようになりますので、すぐにダウンロードしてインストールしました。examplifyについては、wordと同じようにコピペや太字、アンダーバーなどのショートカットキーが使えるかどうかが不安材料でした。普段はwordで答案作成の練習をしていましたが、論点名を太字・下線にしたり、同じ事実を別の論点でも使うときなどにctrl+c、ctrl+vを多用していたのですが、これが本番で使えないと非常に厳しいと思っていたからです。
また、体験談などで、PCがフリーズしたりクラッシュしたりするリスクについて言及しているものがいくつか見受けられましたので、いざフリーズしたりクラッシュしたときにどうなるのかについても不安がありました。
さらに、キーボードの入力が、日本語キーボードの設定で半角英数字を入力する場合と、USキーボードで入力する場合とで、「’」などの記号のキーの位置が変わるので、日本語キーボードの設定のままでも大丈夫なのかも確認する必要がありました。
しかし、試験の1か月半前くらいにexamplifyをダウンロードできるようになってダウンロードしインストールして使ってみた結果、いずれも全然心配ないことが分りました。
examplifyをダウンロードした後、mock examということで、お試しの答案を作ってアップロードすることになっています。その際に、太字・下線やコピペなどの操作を試してみた結果、wordと全く同じ操作でOKということがわかりました。
また、examplifyで答案を作成している最中にフリーズした場合を想定して、わざとPCをシャットダウンして再起動してみたところ、windowsが再起動するとなんの操作をせずとも自動的にexamplifyがすぐに再起動し、シャットダウン前の画面まで戻ってくれました。入力した文章のバックアップは1分ごとに行われているので、最悪でも1分分しか文章は失われないことがわかりました。
examplifyの起動も操作も非常に安定していました。このソフトウェアはすごいなと思いました。

もっとも、本番では、近くに座っていた受験生が、試験が始まる前に自分のノートPCでexamplifyを起動することができす、急遽紙での回答に切り替えていましたので、そういうトラブルのリスクはゼロとはいえないようです。もっとも、まともなPCを使って、事前に起動を試して正常に起動できることを確認していれば、ほぼ99.9%問題ないと思います。

キーボードも日本語キーボードで入力して問題ありませんでした。日本語の入力すら問題なくできました。
ただ、私は、万が一にも不具合がおきないようにということで、USキーボードの設定で受験しました。勉強で答案作成する際もUSキーボードで行い、記号のキーの位置を体に覚えさせました。

本番では、試験会場に入ると机の上に説明文書が置いてあり、パスワードが書いてありますので、そのパスワードを入力すると、本番の試験の答案を入力する画面に移行できました。全くトラブルはありませんでした。

時計

時計はアナログのみで大きさも決まっています。自分は普段は時計をしておらず、手ごろな時計も持っていないので、amazonでシチズンのQ&Q(1000円くらい)を買いました。
試験当日とか直前に電池が切れてしまうリスクも考えましたが、そこまで運が悪ければもう仕方がないと考えることにしました。
もっとも、安い時計なので、リスク対策で2つくらい買って持って行っても良かったかもしれないと今は思います。

当日は、試験が始まるときに午前0時にセットし、3時や3時半に終わる、という測り方をしました。事前の勉強の際も同じようにスタート時に午前0時にセットするという測り方をしていたので、本番でも慣れた形で行うことができました。試験監督員があと何分みたいなアナウンスをしてくれますが、自分の時計はほぼ正確でした当たり前ですが)。

耳栓

試験会場に持ち込み可能なものの一覧を見て、あったら良いかもしれないと思い、Moldexの耳栓を買いました。普段、耳栓を使う機会は全くないのですが、買って勉強中に使ってみたところ、周りの音が全く聞こえずとても集中できることがわかりました。本番にも持っていき、使用しました。

鉛筆

鉛筆は、よく言われているとおり、消しゴム付きの鉛筆である必要があります。消しゴム単体での持ち込みは不可です。
また、濃度も、HB(#2)としていされています。
私は、amazonでトンボ鉛筆の消しゴム付き鉛筆を1ダース買って持っていきました。
Essay、PTでは、他にもいろいろな文房具の持ち込みが可能とされていますが、自分はEssay、PTでもMBEと同じ鉛筆を持ち込みました。Essay・PTでは、問題文であとで忘れたくないところに少し鉛筆で下線を引いたりしたくらいで、筆記用具はなくても問題ありませんでした。

その他

いろいろな体験談を見ると、会場が寒くて仕方がなかった、というようなコメントがいくつか見つかりました。私は足が冷え性なので、冷えが気になって試験に集中できなかったらいやだと思い、Outdoorのボアの暖パンを買って本番ではこれを履いていきました。実際にはそんなに会場は寒くありませんでしたが、備えておいてよかったと思いました。
また、トイレに行く行かないで焦ることがあるかもしれないと思い、大人用おむつも購入して持っていきました。これは要らなかったかもしれません。
そのほか、当日に飲みたいユンケル、ポカリ、当日に食べたいカロリーメイトなども買っていきました。
試験後に飲む酒だけは買い忘れ、現地で調達しましたが、酒屋がホテルから意外と遠かったので、日本で買って持っていけばよかったと思いました。

試験当日

Essay・PT

初日はEssay・PTでした。緊張しましたが、演習では1000wordに満たないことも多くあったのに、本番ではすべての問題で1000wordを十分に超える分量を書くことができました。内容的にも自分基準で65点はいったのではないか、という感覚でした。
試験が終わったあと、速やかに、ネットに接続できるところで答案をアップロードする必要があります。
私は、試験後にホテルに戻ってすぐにホテルのwifiに接続してアップロードしました。特に問題なくすぐアップロードが終わりました。
アップロードにトラブルがあった場合に余裕を持って対処できるようにするためにも、アップロードは試験後できる限り早く行った方が精神衛生上も良いと思います。

1日目のEssay・PTを終えて、次の日のMBEに向けてよく寝ておこうと思い、普段より早めにベッドに入り寝ようとしましたが、興奮のせいか緊張のせいか、朝方までほとんど眠れませんでした。
しかし、「最適な睡眠時間などというものは存在しない」という科学的見解や、過去に激務で睡眠時間を削りながらも仕事を何とか事故なくこなしていた自分を思い出し、睡眠不足についてはほとんど気にすることなくMBEに挑めました。本番でも特に影響は感じませんでした。
もっとも、寝不足は判断力をかなり下げるはずですので、睡眠薬を持って行くなど対策をしておけば良かったと今は思います。

MBE

MBEでは、試験前に、マークシートに、自分の名前や受験番号などを記入してマークする必要があります。
また、マークシーの裏面に3行くらいあるメモ欄に、1行目に名前、2行目に自分の出身地の名称や受験番号を言葉で(in words)、3行目にサイン、を書くように指示されます。これがきちんとできるだろうかと受験前は不安でしたが、本番では説明は非常に聞き取りやすく話してくれましたし、もし分からなければ近くにいる試験監督員がサポートしてくれていましたし、万が一ここを間違っても試験の結果に影響することはあり得ないでしょうから、そこまで心配する必要はなかったと今は思います。

試験終了直後の感想

長時間の試験で心も体も疲弊したので、すぐに酒屋にウイスキーを買いに行き、部屋でたらふく呑みました。

試験直後の感想としては、「今の自分の実力をほぼ出し切った」と感じました。これでダメだとしたら、単に今回は運が悪かったとかそういうことではなく、実力が足りていなかったということになるとだろうと感じました。
そうだとすると、もしダメだったときは、落ちた原因は今の自分には考えが及ばないようなところにあるのだろうと思いました。そうであれば、単純に7月にまた受ければ受かるということにはならないので、敗因を考えて対策するとしたら少なくとも1年後以降になるだろうな、と考えていました。

合格発表まで約2か月半と長いので、果報出るまで忘れていようと思い、マインクラフトをしたりして過ごしました。

結果

約2か月半、ダラダラと過ごして、GW終盤の5/6の朝10時に合格発表がありました。
passと書いてあり、多分合格という意味だろうとわかりました。
5/8に合格者一覧が公表されて自分の名前も載っていたので、確信が持てました。
もし不合格だったら敗因は今の自分の能力では到底及ばないところにあると感じていたので、そうならなくてホッとしました。

おわりに

始めから終わりまでn=1の個人的な体験談に過ぎませんが、誰かの参考になれば幸いです。