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今世紀百物語

生きているのか死んでいるのか

松島の富山の事

放浪之事

この間の土日にサッカーをしに松島に行ったんですよ。

松島っていったら日本三景ですし、おくのほそ道じゃないですか。

実際来てみたら、松島の海岸からの景観は本当にすごいんですよ。

だから、サッカーするだけで帰ってきたら勿体無いと思って、ちょうどレンタカーを借りていたので、サッカー終わった後、景色のいいところに行くことにしたんです。
 
松島には「四大観」っていうのがあって、「シダイカン」と読むらしいんですが、松島の島々を一望できる四大絶景スポットみたいなのがあるらしいんですわ。
4つ全てまわる時間はないけど、四大観のうちのひとつくらいは行っておかなきゃダメだよなぁと思い、四大観のうち一番近くにあった「富山」と書いて「トミヤマ」と読むらしい山に行くことにしたんです。
 
ナビに従って田舎道を山の方に向かって進んでいくと、急に山の途中で横道に入っていくんですが、それがまたギリギリ車一台しか通れないくらいの細い道で、反対側から車が来たらもうすれ違うことができないくらい細くて、「これが奥の細道かぁ」と思いながら、ひとり若干不安になりながらも山奥へ車で進んで行ったんです。
 
何で不安になったかというと、日本三景である松島の「四大観」のひとつだっていうくらいだから、そこそこの観光スポットになっていて、日曜ですからそこそこ人がいるんだろうなぁ、と思っていたのに、山道には全然人の気配がなくて、というか人工物がガードレールくらいしかなくて、客観的にはひとりぼっちでただ山登ってるだけみたいな感じで、おまけに風も強くてゴーゴー吹いてて、木々もわっさわっさ揺れてて、妖怪でも出そうだなっていうくらい、おどろおどろしい感じになってきたんですよ。
 
でも車1台ぎりぎり通れる細道なので、Uターンできないんですね。
戻ることはできず、進むしか選択肢がないんですよ。
バックで戻るという手もなくはないですが、少しでもコントロールを間違ったら崖から落ちる可能性高いですし。
 
そういうわけで、車1台ぎりぎり通れる細道を「嫌だなー、怖いなー」とつぶやきながら登ると、若干広めの駐車スペースみたいな開けたところに到着したんです。道はまだ先にも続いていたんですが、さらに細くなっていて、これは車用じゃないなという感じだったので、ここで車を止めろということかなと思い、車を止めたんです。
車を降りてみると、もちろん周りには誰もおらず、聞こえるのは、ゴー、ゴー,という風の音と、ざわ、ざわ、という木々の音だけで、完全にひとりぼっちで山登りしてる感じになったんですよ。
 
そしてふと横をみると、階段があるんですわ。
 
 

https://instagram.com/p/8zsWn2xW6M/

 
これはどう見ても「登れ」っていうことだよなぁ、と思い、筋肉痛を我慢しながら登ったんですよ。
そしたらまた階段があるんです。
 

https://instagram.com/p/8Zr-n6xWyc/

 

このパターンを何回か繰り返し、数えてないけどたぶん10,000段くらいの登りきったところで、頂上らしきところが見えてきたんですが、何が神社みたいなのがあるんですよ。

 

https://instagram.com/p/8zs4NeRW6v/

 

人の気配は皆無、風はいっそう強く、ごぉ、ごぉ、と吹いてて、木々のさざめき具合も、ざわわっ、ざわわぁ、半端ない感じで、神社みたいなものまであって、これもう妖怪出てこなきゃ逆におかしいわ、って感じなんです。

しかし、もうそろそろ妖怪と出くわしてもいい歳頃かなと思い、恐る恐る神社みたいなやつに近づいて行ったんです。
そしたら、神社の向かいに休憩小屋みたいなものがあって、その先に、松島の島々っぽい絶景っぽい景色が見えたんですよ。
 
 

https://instagram.com/p/8zs55xRW6z/

 

あぁそうだった、自分は妖怪に会いに来たのではなくて松島の絶景を見に来たんだった、と思い直して、小屋的なものの中に入って景色を見てみたら、これが絶景でした。
 

https://instagram.com/p/8ZsroBRWzl/

 

小屋の中で「さすが日本三景だなぁ」と感動しながらしばらく景色を眺めたんですよ。
そのあと、思い出したように写真をとったんです。
それから、ふと足もとの方に目をやったんですよ。
 
そしたら、何か超でっかいスズメバチが自分の股間の前でブンブン飛んでたんですよ。
 
 
「んぁぁァアア!!」
 
って言いました。ひとりで。
言いながら夢中で後ずさりました。
 
後ずさったらすぐ後ろにベンチがあって、ベンチに足をとられて、そのまま
 
「ズサーッ!」
 
と素っ転んだんです。ひとりで。
 
素っ転んでも、笑ってくれる人も助けてくれる人もおらず、いるのは超でっかいスズメバチですから、素っ転んだあとも
 
「あう、あう、」
 
と言いながら、夢中でほふく前進で小屋から出て、立ち上がって逃げたんですよ。
 
 
 
取り乱しました。
こんなに取り乱したのは高校生のとき刺身包丁で指を切ったとき以来じゃないかと。
 
 
 
しかし、スズメバチから逃げ切ったあとに冷静に考えると、これって自分がそこまで取り乱すようなことだったのか、疑問に思えてきたんです。
 
確かにスズメバチは怖いですし、見つけたら「うわっ」となりますが、そそくさと逃げればいいだけです。
自分のようなキャラクターの人間が、「んぁぁァアア!!」とか言いながら「ズサーッ!」と素っ転んで「あう、あう、」と言いながらほふく前進して逃げるような話じゃないじゃないですか
こんなリアクションしていいのは死体を見つけたときくらいじゃないか。スズメバチでそこまでなるかって。
こんなになったのは何か不思議な力が働いたからじゃないかって。
 
そうしてふと気づきました。
 
 
 

こりゃ妖怪のしわざだな、と。

 
 
 
以上、松島の富山で妖怪にもてあそばれた話でした。
 

https://instagram.com/p/8ZuRjSRW2a/