今世紀百物語

生きているのか死んでいるのか

銀翹散に喉を救われたこと

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉がありますが、健康に関して言えば自分は全くその言葉のとおりです。

具合が悪いときはそのことばっかり考えてしまい、もう生きているのも嫌になるほど落ち込みます。
それなのに、治ってしまうと、具合が悪かったことなどすっかり忘れ、まるで自分が一度も病気したことのない完全健康体であるかのように思ってしまいます。

ですので、未来の自分のために、ここに闘病日記を記しておきたいと思います。

プロローグ

11月4日金曜日の夜、とある大忘年会が開催されたわけですが、そのとき、ちょっと喉に違和感を感じました。それでも「まぁ気のせいだろう」と無視して、カラオケなど歌ってしまい、〆のラーメンも食べてしまったわけです。

そして翌日、午後から仕事があり、しかも、某セミナーで30分ほど講演をするという仕事で、当然のことながら30分ほどしゃべり続けたわけです。このときも、何か喉に違和感があったのですが、気合いで乗り切って声を出していました。

そのセミナーが終わったあと、喉を酷使した結果か、あるいは急に気が抜けてしまったのか、喉の違和感が喉の痛みに変わり、「これは風邪かもしれない」という段階に至りました。しかし、他方では、「もしかしたら風邪ではなくてただの寝不足&二日酔いかも」という思いもありました。

そんなことを思いながら就寝し、日曜の朝に起きてみた結果、これがただの寝不足や二日酔いなどではなく、喉の風邪だ、という確信するに至りました。

ここから、私の闘病が始まったわけです。

何とペラックT錠が効かない

喉が痛いときに超絶効果があるとして有名な市販薬に、ペラックT錠があります。「喉が痛い」で検索すると、すぐに、ペラックT錠を絶賛する記事がたくさん見つかります。

私も喉が弱く、風邪をひくときはいつも最初に喉が痛くなりますので、以前からペラックT錠を愛用しており、過去に何度もペラックT錠に救われてきました。

今回もこれで楽勝だろう、と思い、ペラックT錠を飲みました。

しかし、良くなりません。

翌日の月曜日、朝起きてみると、良くなるどころか、喉の痛みがひどくなっているではありませんか。
「ペラックT錠が効かないはずがない!ここが勝負どころだ!」と思い、昼も夜もペラックT錠を飲み続け、安静にしていましたが、喉の症状はますます悪化するのみです。

私はこう思いました。

「今回の風邪はペラックT錠は効かないやつだ」

エゾエースは高い

ところで、風邪をひいてツルハドラッグに行くと、必ずと言って良いほど、「エゾエース」が猛プッシュされています。

1本400円くらいするのでけっこう高いのですが、風邪で弱った身体でドラッグストアに行き、「これで滋養強壮で風邪も吹き飛ぶ!」みたいなことが書かれたポップを見ると、必ずと言ってよいほど買ってしまいます。

そして、藁をも掴む思いでエゾエースを飲み、風邪からの回復を祈るわけです。
しかしながら、風邪が治ってしまうと、エゾエースのことなど無かったことのようにすっかり忘れてしまうのです。

この闘病記録は、このエゾエースように、風邪をひいている最中は重要なことだと思っているのに、風邪が治ったとたんにすっかり忘れてしまう存在について、書き留めておくことを目的としています。
そのため、風邪をひいたら必ずといって良いほど買っているくせに、風邪が治ったとたんにその存在すら頭から消え去るこのエゾエースについて、書き記しておきたいと思います。

「エゾエース」で検索するとわりとトップの方にツルハのホームページが出てくるほど、ツルハと特別な関係にあるエゾエースですが、エゾエースの主成分はエゾウコギ乾燥エキスだとのことです。
ではこのエゾウコギとは何なのかというと、ちゃんとウィキペディアに記載されていました。

エゾウコギ - Wikipedia

ウィキペディアによると、エゾウコギは、ウコギ科の落葉低木で、薬用植物であるとのことであり、シベリア人参とも呼ばれることがあるそうです。北海道やアムール州、サハリン州、中国の黒竜江省、吉林省に分布するそうで、まさに文字どおりエゾウコギ、シベリア人参といえます。
旧ソ連の科学アカデミーが薬用としての研究を開始したとされ、1980年のモスクワオリンピックではソ連がこれを選手団の強化に利用していたとして話題になったそうです。こうなると効き目がありそうな気がしてきます。
エゾウコギは、アイヌ民族が民間薬として用いていたそうで、そう聞くとますます効き目がありそうな気がしてきますが、和人はその価値を知らずに、雑草として、見つけると片端から駆除を行っていたそうです。和人は馬鹿ですね。
滋養強壮や抗ストレス作用の効果があるとのことですが、よく分かりません。
要するに、エゾエースとは「効きそうな草(合法)」のエキスである、という理解で間違いないようです。
このようにして、風邪をひいたと認識してすぐにエゾエースを飲んだわけですが、いつもどおり、全然効きませんでした。和人だからでしょうか。

私はこう思いました。

「エゾエースは少なくとも400円分の効き目まではなさそうだ」

アズレン系のどスプレーも効かない

11月7日月曜日、仕事が始まりましたが、喉の痛みはますますひどくなり、仕事どころではありません。
必要なこと以外は一切しゃべらず安静にしていますが、良くなる気配は全くなく、心の中では、喉痛いよー、喉痛いよー、と泣いている自分を認識します。
これは長期戦になることを覚悟し、11月8日に予定されていた飲み会をキャンセルします。
ペラックT錠飲んでも全然良くならず、むしろ悪化している、という状況は初めてのことであり、どう対処して良いのか分かりません。

11月8日火曜日、状況はさらに悪化しています。
火曜日の朝に起きてみたら、もう喉の全体がひりひりびりびりで、直視できるとしたらおそらく全部真っ赤っかで、コンクリート路面で膝をすりむいたときみたいな状態になっているとしか思えないほどの痛さです。
言葉を発することもぎりぎりで、ほとんど言葉を発しないでいましたが、どうしても何かを話さなければならないときは泣きながら話すような感じです。
もう生きているのも辛いという感じです。
こうなると、風邪が治る治らないとかよりも、この症状をとにかく消して欲しいと思うようになります。風邪なんてどうしても数日では治らない。そうであれば、症状だけ消してくれればよい。こんな症状を抱えるなら死んだ方がまし。これが緩和ケアというものでしょうか。もっときびしい闘病をしている人がたくさんいるであろうのに自分はチキンで申し訳ありませんが、自分としては喉が痛いだけでもそう考えてしまうほどの辛さなわけです。

何らかの新しい対処が必要であると考え、色々とネットサーフィンした結果、どうやらアズレン系ののどスプレーやうがい薬が抗炎症作用があって良いらしいことが分かりました。

jushinkai.doorblog.jp

「これだ!」と思い、早速、ツルハドラッグに行き、アズレン系ののどスプレーを買ってきました。

そして、これを、できるだけ患部に直接あたるように、シューッ!シューッ!とかけたところ、なんかヒリヒリします。
これを何回かに分けてやってみましたが、全然良くなりません。
次の日、水曜日になっても、全然良くなってる気がしません。

私はこう思いました。

「これは僕には効かない」

救世主=銀翹散(ぎんぎょうさん)との出会い

11月9日水曜日、闘病生活も数日が経過しましたが、いっこうに良くなる気配がなく、泣かずにしゃべることもできません。
本当に何かほかによい方法がないか、必死でネットサーフィンした結果、喉の痛みには桔梗湯が効く、と書いてあるのを発見しました。

桔梗湯は漢方薬で、患部に触れるように、お湯に溶かしてちびちび飲むのがいいそうです。本当かどうか分かりませんが、もうこうなったら何でも試してみるほかないと思い、早速、ツルハドラッグに行ってみましたが、残念なことに桔梗湯は売ってませんでした。
その代わり、銀翹散という漢方薬が、喉の痛みに効く薬として売っていました。
桔梗湯でなければ意味ないじゃんどうしよう、と迷ったものの、銀翹散の中味を見てみると桔梗も入っているようだったので、とりあえず買って帰ろうと思い、買って帰りました。

そうしてから改めて銀翹散について調べてみたところ、10種類の生薬からつくられる漢方薬で、なんかインフルエンザにも効くみたいなことが出てきます。インフルエンザに効くわけないだろうと半信半疑に思いながら、コーヒーカップにお湯を注ぎ、銀翹散を入れ、混ぜます。

https://www.instagram.com/p/BMqP6EfDy8X/

見た目のとおり、そこらへんに生えてる草でつくった草団子をお湯に溶かして混ぜたみたいなにおいがします。
そして、これをちびちび飲んでみたところ、ひとくちで分かりました。

「これは効く」
と。

飲むまではもう喉がギンギンに燃えさかっていたのが、消火器で消したかのように急にしゅんとおとなしくなっていくのが分かります。
このとき、西洋医学の敗北を悟りました。銀翹散はすごいと。インフルエンザにも効くというのもあながち嘘ではないかも知れない。
そうして、銀翹散を飲めば治ると悟った私は、1日3回と書いてあるのに、朝と昼と夕方と夜の4回も飲み続け、今日に至ります。

桔梗湯トローチは効かない

銀翹散のすごさに圧倒され、「もしかしたら買い損ねた桔梗湯も同じくらい効くのでは。」と思い、狸小路のマツモトキヨシに行き、桔梗湯トローチを買いました。

 朝昼夕夜に銀翹散を飲みつつ、その間にこの桔梗湯トローチをなめてみましたが、あまり効き目を感じませんでした。

龍角散はよく分からない

桔梗湯トローチの効果の感じなさにがっかりしながらも、さらに桔梗について調べてみると、龍角散にも桔梗が入っていることが分かりました。
巷では「龍角散のどすっきり飴」とか「龍角散ダイレクト」などといったライトな商品が広く売られていますが、元祖の龍角散はもっとやばそうなやつです。

銀色の入れ物に入っている白い粉を舌の上に乗せ、唾液で少しずつ溶かしながら飲むという、非常に怪しげな飲み方をするものです。

これも試してみましたが、効果があるようなないような、よく分かりませんでした。

龍角散ののどすっきり飴は素晴らしい

龍角散は効いているのかどうか分からないし、そもそも銀翹散を飲んでいるのでメインは2つはいらず、サブ的な位置づけの飴が欲しかったので、龍角散ののどすっきり飴の、何か成分的なものが20%増量というやつを買ってみました。

するとどうでしょう、桔梗湯トローチよりもずっと喉の調子が良い気がします。
龍角散ののど飴にも桔梗が入っているのかどうか知りませんが、いずれにしても、銀翹散と龍角散のど飴のコンビでこのピンチは切り抜けられると悟りました。

龍角散の成分的なやつが20%増量とありますが、この袋に龍角散の粉を入れてしまえば何パーセントでも増量できます。

せめて、人間らしく

このようにした結果、11月10日には、ようやく、おそるおそるながらも普通にしゃべれるようになり、その日の夜には、このおそろしい風邪に勝利できたことを確信しました。
そして今日、残党によるゲリラ戦がときおり起こるものの、喉の炎症の組織的な抵抗は終結し、確実に制圧しつつあるという状況にまで至りました。今夜までには完全制圧できることは間違いありません。
このようにして回復してくると、まだ完全回復に至っていないというのに、あんなに死ぬほど辛かった喉の痛みのことも頭から消え去りそうになってきます。人間とは本当におろかです。あの辛さが記憶から完全に消えてしまう前に、急いでここに記す次第です。 

次にノド風邪をひいたら、この記事を見返すことにします。

 

311から5年経ったこと

東日本大震災から5年が経ちました。

戦後2年で日本国憲法が公布されたことを考えると、災害から5年も経ったら相当時間が経ったということだろうという気もしますが、実感としてはそうでもなく、逆に戦後2年で新しい憲法完成する方が早すぎで異常だろうという気がします。あまり遠い記憶でもないので、さすがに当時の映像がニュースなどで流れると心にくるものがあります。

震災直後は日本オワタと思いましたが、5年経ってみると全然終わっておらず、今となっては「アレで終わらないなら永遠に終わらないわ」と、逆に日本の永続を確信しています。

しかし当時は本当にこれは国難だと思い、自分のような人間でも少しでも役に立てないかと思って、震災の1月後くらいに志願して大槌町に行ったんですが、そのときの記憶は将来歳取ってボケても忘れたくないですね。

町に至るまでの山道を下っていくと、ある一定の地点を越えたところから急にがれきだらけになっていて、ここまで津波が来たんだと分かるわけです。津波が届いた家と届かなかった家で明暗が分かれていました。そして町に近づくと、ホーマックがあるんですが、ホーマックの建物の枠組みだけあって中身がすっからかんになっているんです。そしてさらに町に入っていくと、一面瓦礫だらけの赤茶色の世界になっていて、道路だけは瓦礫がよけられていて何とか車両が通行できるようになっているんですが、それ以外は本来建物が建っているところが瓦礫の山になっていて、車から降りてみると、何とも言えない腐敗臭が漂っているわけです。そこを、自衛隊の車両が頻繁に行き来しているわけです。

そんな町の様子を見てから避難所に行ったわけですが、避難所でもやっぱり自衛隊が銭湯とかを設営しているんです。そのころ頻繁に通っていたバーに自衛官がお客さんでたくさんよく来ていて、被災地に派遣されるとか派遣されたとかいう話を聞いていたんですが、自衛官個人個人としてはメンタル的にも色々と大変だったみたいですが、一小市民の私からすると、非日常としかいいようのない被災地に秩序をもたらしてくれそうなのは自衛隊しかいなくて、自衛隊は我々を守ってくれるんだなと実感しました。

避難所にいると、いろんなところから寄付とかが来ていました。どこかの企業の人がぞろぞろと何人かが体育館に入ってきて、「何々会社の方から何々を寄付いただきました」みたいな案内をされて、そのあとその企業の社長とか偉い人が一言「もういてもたってもいられず自社の商品を持ってきました。みなさん頑張ってください。」みたいな話をして、というのが2時間おきくらいに繰り返されていました。

避難している当の被災者は、大まじめな顔で支離滅裂なことを言ってくる人もいて、冗談かと思ったけれどもこのときこの場所で冗談を言う訳がないと思い直して対応したこともありましたし、話を聞いてみると家族も家も何もかもすべて流されてしまったということなのに、極めて冷静な様子で話をしてくる人もいました。そういう方々の精神状態は自分に想像できる範囲を超えているんだろうと思いました。

今後もときどき思い出すと思います。

 

この道しかないこと

みなさん覚えていると思いますが、3年前の政権交代のとき、安倍総理は「この道しかない」って言ったんです。

この道ってどの道かというと解釈は分かれるかもしれませんが、僕は「負債はインフレでぶっとばすしかない」っていう意味だと理解しました。そして、なるほどその通りだと本当に思い、覚悟を決めて賛成しました。
 
みなさんご存知のとおり、政府にはめっちゃ借金あるじゃないですか。
その原因って、社会保障費の増大じゃないですか。
そして、それって今後もどんどん増えるじゃないですか。
でも社会保障費の削減したら選挙に落ちるじゃないですか。
だから減らすことは政治的に不可能じゃないですか。
そしたら借金どんどん増えるしかないじゃないですか。
増税したら返せるかも知れないけど、それも政治的に不可能じゃないですか。
じゃあ返さないで支払停止かといったら、それも政治的にできないじゃないですか。
そしたらお金刷って返すしかないじゃないですか。
というか事実上いまそれしてるじゃないですか。
そしたら普通すごいインフレになるじゃないですか。
そしたら借金ブッとばせるじゃないですか。
一石二鳥じゃないですか。
 
そういうことだと、その道しかないと、そう理解したわけです。
 
でも、どうしてまだ、たいしてインフレになってないんでしょうか。
全く意味がわかりません。
意味不明です。
 
ネットでいろいろ見てみても、日銀が国債を買っても金融機関の日銀当座預金残高が増えているだけで市中にお金が流れていないのでインフレにならないのだ、とか、いや時差があるからこれからインフレになるんだ、とか、インフレになりかけると円が買われるので結局いいところでインフレが抑えされるようになってるんだ、とか、需給ギャップがどうたらこうたら、とか、定説が見つかりませんし、なるほどと思えません。
 
ど素人的な感覚としては、社会保障費の増大をまかないきれなくて返すあてのない借金をしている状態は自転車操業状態なので続くわけないような気がしますし、これを誰に対しても債務不履行せずにぶっとばすにはインフレしかないと思うんですよね。政治的に可能なのはこの道しかないと。
でも、これは問題は解決されなければならないというテーゼに囚われているだけのような気もするわけです。問題を解決しないままにしておくということも現実にはよくあることですので、それもありうるのかなぁという気もするわけです。インフレにならない説って結局そういうこと言ってるんじゃないかと思うわけです。
 
どっちにしろ10年後はサンディエゴに移住したいので、ちょっとずつドル預金しようと思います。
 

すすきのを徘徊するドッペルゲンガーのこと

先月くらいまでなんだかんだと立て込んでて、精神的に追い詰められていたんですが、それがひと段落したので、先月、数か月ぶりにいそのかづおに行って、札幌ブラックを食べたんですよ。
 
「何か月ぶりだろうか、すっごい久しぶりだわ」という感慨というか、戻ってきたんだなぁ的な感動に浸りながら札幌ブラックを注文しようとして「スイマセーン」と大将に声をかけたら、大将が
 
「いつもの札幌ブラックでよろしいですか?」
 
って言ったんですよ。
 
「えっ、ついに「いつもの」と注文できるくらいになっちゃったのかしら、ここ数か月は全然来てなかったのになぁ、それとも聞き間違いかしら」などと思いながら札幌ブラックを堪能して、お会計を済ませて帰ろうとしたら、大将が
 
「いつもありがとうございます」
 
って言ったんですよ。
これは聞き間違いじゃないなと。
 
いそのかづおの大将は、愛想はよくて怖い感じではないんだけど、そんな誰にでも媚びを売る商売上手っていうような感じでもなくて、どちらかというと職人的な雰囲気なんですよ。
そんな大将がこう言うってことは、これはついに常連と認められたな、一線を超えたな、って思ったんです。
 
 
ところで、昨日のことなんですが、とある遠方から来た友人の歓迎パーティーを終えて、まだ21時半くらいだったので、さすがにまだ帰るのも早いかなと思い、かといって行きたい店も心当たりがなかったので、こんなときは冒険だと思って、案内所経由で、一回も行ったことがないニュークラブに行ったんですよ。
ご新規様だから、女性が短時間で入れ替わり立ち替わりやって来るんですが、三人目に来た女性が僕の顔を見て
 
「お久しぶりですぅ〜」
 
って言ったんですよ。
しかし全然心当たりがないので、話題づくり的に冗談で言ってるのかなと思いつつ、「え?会ったことあるっけ?この店初めて来たんだけど」と言ったら、意外にもなんか曖昧な感じの微妙なリアクションをするんですよ。まるで、「会ったことありますよ。覚えてるんでしょ。まぁここでは知らないふりをしたいということであればそれでもいいけど。」とでも言うかのような、それ以外にも何か言いたげな、すごい微妙な感じの反応をするんですよ。
 
これはマジで会ったことあるんだなと。
しかも会ったことない振りをしてると思われても仕方がないようなところで会ったことがあるんだなと。
そう思ったんですが、顔をまじまじと見ても全然心当たりがないわけです。
 
 
そうして、何となくもやもやした気持ちを抱えながら店を出て、獅子王という濃厚温玉味噌ラーメンの店に行ったんです。
このラーメンは濃厚なんだけど、天下一品とか二郎とかみたいな脂ぎった濃厚さでは全くなく、カルボナーラのような方向性の濃厚さで、とても美味しいんです。
ですが、それなりに食べ飲みした後のシメとしてはやはりちょっとヘビーなんです。
なので、昨日みたいに一次会で大して食べてない日にしか行けないんです。
そのため、なかなか行ける機会がなかったんですが、昨日たまたま、温玉だけにたまたま獅子王の前を通りかかって、今日なら行けるわという感じだったので、たぶんもう1年ぶりくらい久しぶりに行ったんです。
 
そうして濃厚温玉味噌ラーメンを堪能して、お会計を済ませて、帰ろうとしたとき、お店の方から、
 
「いつもありがとうございます。またお待ちしてます。」
 
って言われたんです。
 
 
 
ピーンと来ました。
 
ありえないですね。
なんせ1年ぶりくらいですから。
その前だって何回か行ったくらいで、そんな通いつめたっていうほどじゃないですから。
さすがに覚えてるはずないですね。
 
 
これは完全に自分のドッペルゲンガーがすすきの徘徊してますわ。
 
 
ウィキペディア見たら、ドッペルゲンガーって「生きている人間の霊的な生き写し」のことで、ドッペルゲンガーの特徴として、
 
ドッペルゲンガーの人物は周囲の人間と会話をしない。
・本人に関係のある場所に出現する。
 
などがあるそうです。
 
自分のドッペルゲンガーニュークラブで会話せずにいったい何をしていたんだと。
さぞかし奇妙な客だったに違いない。そう考えると、ニュークラブの女性の微妙な反応も納得がいきます。
 
このドッペルゲンガーウィキペディアの記事はなかなか面白くて、リンカーン芥川龍之介が自分のドッペルゲンガーを見たという記録があるとか、ピタゴラスが二箇所で同時に大勢に目撃された記録があるとか書いてあるんですが、自分のドッペルゲンガーを見ると死ぬらしいとも書いてあるんです。
 
これはうかつにすすきの徘徊できませんわ。自分のドッペルゲンガーに出くわすかもしれませんからね。
 
ちょっと様子がおかしい僕がすすきのを徘徊していたら、それは僕ではなくて僕のドッペルゲンガーですので、ご了承ください。
 

広瀬すずと三人の石切工の事

広瀬すずさんがテレビ番組で「どうして生まれてから大人になった時に照明さんになろうと思ったんだろう?」「なんで自分の人生を女優さんの声を録ることに懸けてるんだろう?と考えちゃう」「大人になって年齢を重ねると共に、本当に…声を録るだけでいいの?」と言ったら炎上して謝罪したそうです。

 
叩かれる意味がわかりませんが、JKが「本当にごめんなさい」と謝るところを見れたのでよかったと思います。
 
しかし、この疑問はもっともな疑問であり、本人にぶつければ深イイ回答が得られることが期待できる良問に違いありません。
また、実際に質問を本人にぶつけなくても、回答を想像することで、他者理解につながりそうです。
むしろみんなもっとこういう疑問を持つべきではないでしょうか。
 
こういう疑問を失礼だと思う人は、この疑問を本人にぶつけたら
 
「なりたくてなったんじゃねーわ!」
「やりたくてやってるんじゃねーわ!」
「本当にそれでいいのかって?いいわけねーだろ!」
「つーか馬鹿にしてるのか!!」
 
という反応が来る想定してるとしか思えないですね。そっちのほうが失礼なのではないでしょうか。
 
もし自分自信がしていることについて同じような疑問をもったときは、3人の石切工の話を思い出すべきですね。
 
3人の石切工に「何をしているのか」と質問すると、
一人目は「これで暮らしを立てているのさ」と答え、
二人目は「国一番の石切りの仕事をしているのさ」と答え、
三人目は「大聖堂をつくっているのさ」と答えた、
という有名な話です。
 
たとえば、工事現場で交通誘導してる警備員さんっているじゃないですか。
 
たいていは無駄ですよね。
 
「歩行者の方はこちら」って書いてあるところを通ろうとすると、待ってましたとばかりに警備員が無駄に近寄ってきて、誘導棒をユッサユッサと振りながら「こちらお通りくださーい!」とか言うんですよ。
 
いや、お前に言われなくてもそこ通るから。
 
そういう風に言われるとまるでお前が言ったからお前の指示に従ってそこを通るみたいな形になるじゃないか。
 
お前が言ったからそこ通るんじゃないからな。
 
そもそもお前がいなくてもみんなそこ通るわ。
 
ほんと無駄!
 
というように、早足で通勤する通行人をイラっとさせるわけですが、
 
そこでさらに、
 
「この人はどうして自分の人生をこんな交通誘導に費やしているんだろう。」
「本当にそれでいいの?」
 
という疑問を持つと、他者理解が進むわけです。
 
こんな疑問を三人の警備員にぶつければ、
 
一人目は「暮らしていくためさ」と答え、
 
二人目は「日本で一番の交通誘導を披露したいのさ」と答え、
 
三人目は「人類を進むべき道へと誘導しているのさ」と答えるかもしれません。
 
 
AV男優の場合はどうでしょう?
 
一人目は「これで暮らしを立てているのさ」と答え、
 
二人目は「日本で一番のゴールドフィンガーを披露しているのさ」と答え、
 
三人目は「人類をつくっているのさ」と答えるかもしれません。
 
広瀬すずさんは大物ですね。